小原啓渡執筆集「諸行無常日記」
2006.08.20
玉野黄市
昨日、アートコンプレックス1928で舞踏家、玉野黄市さんの公演がありました。
実はこのブログでは、あまり舞台などの具体的な批評は書かないでおこうと思っていたのですが、アートプロデューサーとしてではなく、一個人として感動したので、少し書きます。
「ガニ股のニジンスキー」
玉野さんは土方辰に直接師事した数少ない舞踏家で、今はサンフランシスコ在住。
5人の女性舞踏手との公演でしたが、久しぶりに舞踏らしい舞踏を見た気がしました。
70年代から80年代初頭にかけての舞踏に強烈な刺激を受けた僕としては、何だかその当時に引き戻されたような感動がありました。
変わっていくものもいいけれど、形骸化せず、脈々と生き続け、変わらないものも素敵です。
玉野さんの奥さん、弘子さんの舞踏も最高でした。若い女性舞踏手との対比の中で、身体性、精神性が際立って、目が釘付けになりました。
舞踏は、日本で生まれた世界に誇れる身体表現です。
舞踏が世界のダンスシーンに与え続けて来た影響は特筆すべき事実ですが、同じように舞踏も世界のダンスシーンから影響を受け続けています。
オリジナリティーって、単に表面的な演出手法やフォームにあるのではなくて、きっと、民族としてのアイデンティティーや精神性の中にあるんでしょうね。
そんなことを考えさせてくれる公演でした。
小原啓渡