小原啓渡執筆集「諸行無常日記」
2008.01.06
トルコ 黒海
新年に入ってから、なぜかこのブログ続いていますね。
さて、いつまで続くことやら・・・。
今回は「と」、トルコでの思い出を少し。
10年ほど前、コンテンポラリーダンスのフランスツアーの合い間に、1週間ほどトルコで休暇をとったことがあります。パリからイスタンブールに入り、当初はカッパドキアに行くつもりが、「黒海を見てみたい」と気が変わって急遽黒海沿岸の小さな村へ向かうバスに乗り込みました。
「黒海って、ほんとに黒いのかなぁ?」っていう単純な理由でした。
目的の村に到着したのは夜、海の見える宿がいいと思って、海岸へ。
「黒い!」
夜の闇より深い漆黒の海が目の前に広がっていました。
砂浜に座り込んで、しばらく呆然としていました。
「夜だから?いや、ほんとに黒い!」
美しい弓なりの砂浜の端にかすかな明かりが見えて、そこからフォークな音楽がかすかに流れて来ました。
その音に引き付けられるように砂浜を1キロばかり歩きました。
海にせり出した、木造りのパブがあって、ミュージシャンがアコースティックにトルコ民謡を演奏していました。
毎日、夜になるとそこに通って、漆黒の海を見続けました。
小原啓渡
(黒海が黒いわけ:表層水と深層水の循環が少ないため、深層水では酸素が欠乏し嫌気性バクテリアによって硫化水素が発生する。その硫化水素が海水中の鉄イオンと結合し黒色の硫化鉄となるため海水の色が外洋と比較して黒味を帯びている。)