小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.01.17

マラリア

「ま」、今日はとぼけた話を少し。

「マラリア」は、熱帯地方で発生し、今もなお多くの命を奪ってる非常に怖い感染症ですが、不遜ながら僕には少し違ったイメージがあるんです。

僕が20代になりたての頃、インドを放浪していたことは以前書きましたが、そのころの僕はいわゆる「フラワーチルドレン」通称「ヒッピー」の生き残りでした。
ヒッピーに関しては、また改めて書きたいとは思いますが、とにかく当時(四半世紀前)、インドに長期滞在し、放浪している「本格的なヒッピー?」のほとんどが「通過儀礼」のように罹っていた病気が、「赤痢」「肝炎」「マラリア」でした。

今となっては全く馬鹿げた話だと思うのですが、この3つの病気にかかって初めて「本物のヒッピー??」になれる的な雰囲気があったわけです。
僕はというと、まず「アメーバ赤痢」にかかり、続いて「ウイルス性肝炎」にかかりました。
アメーバ赤痢は、それほど苦労せず完治しましたが、肝炎の方は初期の対処を甘く見ていたために「劇症肝炎」(つまり重症の肝炎)に移行してしまい、死線をさ迷うことになりました。

当時の僕は、あと一つ、「マラリア」になれば「一人前のヒッピー???」になれると、本気で思っていたところがあり、怖れどころか、マラリアになるのを待っているような状態さえありました。

結局、マラリアには感染せず、3つ目は「ジャルジャ」という、変な名前の風土病にかかったわけで、「3つの病気」というラインには一応到達したのですが、この病気、とにかくお腹が妊婦のように膨れて、始終おならが出るという、名前以上にへんてこな病気で、これで「一人前のヒッピー」になったという気にもなれず、ずいぶんと落ち込んだのでした。

まさに「バカ」を真面目にやっていた「若気の至り」の極致ってやつですが、
「本当に僕って運がいいなぁ」と思うのは、肝炎もA型だったために完治し、後遺症が残るというマラリアにも結局かからず、風土病も笑い話ですんだことですね。

当時、「劇症肝炎」に移行した患者の3人に一人は死ぬ、という状況であったにも関わらず、今こうしてお気楽なブログを書いている自分がいるわけですから、まったくもって、

人生って面白いですね。

小原啓渡

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