小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.02.04

映画

「え」、「映画」で。

何年か前、「映画大好き宣言」という本に「あなたの好きな映画を3本挙げて、それぞれに感想を」という依頼がきて、書いた文章があります。

おそらく、締め切り間際、字数制限もあり、苦し紛れに書いたものだと思いますが、敢えて、そのまま載せてみたいと思います。

作品名:「エル・トポ」
監督:アレハンドロ・ボドロフスキー
製作年:1970年(米+メキシコ)

何の情報もなく、偶然に観た。
田舎者で、まだ10代だった僕のふにゃふにゃの感性を直撃した。
観終わって、しばらく身動きができなかった。
当時、誰に話してもこの映画のことを知らなかった。
自分の感性が大衆性を持ち合わせていないのかと不安になった。
かなり経ってから、ジョン・レノンがこの映画の独占配給権を買い取ったことを知った。
少しだけ、自分の感性を信じてもいいかもしれないという気になった。
僕をアートの世界に導いた作品だ。

作品名:「道」
監督:フェディリコ・フェリーニ
製作年:1954年(イタリア)

「道端の石ころ一つにも価値がある」
一つのセリフが、いつまでも心に残った作品だ。
宇宙における「エネルギー普遍の法則」に関して知ったのは、ずっと後のことだ。
宇宙のエネルギーの総量は変わらない。
例え人が死に、灰になっても、エネルギーは形を変えるだけで普遍だ。
宇宙の中では何一つ無駄なものはない。
一つたりとも欠けては、宇宙は存在し得ない。
すべてのものに存在価値がある。
映画は時として、人を救う。

作品名:「月の瞳」
監督:パトリシア・ロゼマ
製作年:1995年(カナダ)

「3つ挙げてください」という質問の答えで、一番迷うのが三番目だろう。
「これだけは外せない」という土壇場的な心理要因を含むからだ。
「あなたにとって異性に求めるものを3つだけ挙げてください」という質問で、本音が出るのが3番目だそうだ。
「優しくて、頭がよくて、お金持ち」こんな感じ?
この映画は、神学の女性教師と自由奔放に生きるサーカス団の女性が恋に落ちていく話だが、僕が挙げた3作品に共通するのは「サーカスのイメージ」、そしてそれにつながる「放浪のイメージ」かもしれない。
精神と心の放浪は、僕を魅了し続ける。

過去に書いた文章は、何となく「こそばい(くすぐったい)」ものです。
このブログも何年か経って読み返すと、きっと「こそばい」んでしょうね。

特に、「道」のくだり、
「映画は時として、人を救う」なんてのは、いきなりで、わけが分からない!
この映画を見た頃、僕は「自分の存在価値」に大いなる疑問を感じて、悶々としていたことは確かですが、まあ、ここまで大上段に構えることもないですよね。

「月の瞳」に関しては、解説も感想もほとんどなく、この企画に対するコメントと3作品のまとめになっているし、全体的に「イキッてるぞ」って感じ!

まあ、こんな具合で、書いたもの、特に印刷されてしまったものは修正の仕様がない。

ブログは削除可能なのでまだ救いがありますが、このあたり、「心して書かなきゃ」と思うわけであります!

小原啓渡

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