小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.02.20

ツーリング

「つ」、「ツーリング」で。

学生時代、何をしてたんだろうと考えて、まっ先に思い浮かぶのが「ツーリング」、つまりバイクでの旅。

当時僕が乗っていたのは「カワサキLTD400」というアメリカンタイプ。
気が向いたら遠出して、どこでも寝れるように、バックシートにはいつも寝袋を積んでいました。
(女の子を乗せた記憶がほとんどない)

アルバイトをして、ちょっとお金が入ると、すぐに一人ででツーリングに出かけてました。
大体北海道に行く時は、敦賀からフェリーにのって小樽に入り、夏なら1か月くらいは帰らなかったですね。

よほどのことがない限り、ユースや旅館に泊まるということもなく、ほとんど野宿でした。
野宿は大抵、駅でしたが、北海道のいいところは、冬の寒さ故でしょうか、バス停が簡易な小屋になっているところが多く、よくそこを使わせてもらいました。

ツーリングというとグループで走る人たちが多いですが、僕はいつも一人。
事前にルートを決めず、自分のペースで走るのが好きなタイプだったので、旅の途中で誰かと親しくなっても、一緒には走らなかった。

一応自分なりのスタイルにこだわってたっていうか、ちょっとカッコつけてたんでしょうね。

安全性からいうと断然グループで走る方がいいわけで、事故に巻き込まれたり、故障、あるいはガス欠した時にでも仲間がいると何とかなる。

たまたま、休憩しているところで一緒になった二人組から、
阿寒湖の近くに、「北海道3大秘湖」のひとつ「オンネトー」という「七色に変化する湖」があると聞いて、珍しく北海道に台風が接近しているというさ中、すぐにコースを変更して向かいました。
(彼らは、その日は近くのユースに泊まって、次の日に行くということで、同行しないかと誘われましたが・・・)

かなりの秘境で、道の状態も悪く、曲がりくねった山道を走りながら、
「引き返してどこかの駅で台風の状況を見ながら待機した方がいいかな」と思い始めた矢先、
不完全に舗装されたアスファルトの窪みにタイヤを取られて、大転倒!

怪我は擦り傷程度ですみましたが、クラッチが折れ曲がって、ギアが入らなくなってしまいました。
周囲にはバイク屋どころか民家さえない山の中。

そんな状態を見計うように、雨も激しくなってくる。

石でクラッチを叩いて、なんとかギアをローに入れ、来た道をトロトロと引き返すほかありません。

かなり走って民家を見つけ、工具を借りて修理を試みましたが、これもアウト。
バイク屋らしきものは、釧路まで出ないとないとのことでした。

とにかく、途中にガソリンスタンドくらいはあるだろうと雨の中を釧路に向かいましたが、行けどくらせど何もない。
ローで出せるスピードはせいぜい10キロ程度、無理をしてふかせばガソリンを使って途中でガス欠になる。

結局、何とか途中でガソリンスタンドを見つけるも修理できず、
100キロ近い道のりを豪雨の中、トロトロと走り続けて、
やっとの思いで釧路にたどり着いたのでした。

その後、懲りずもせず限定解除(大型バイクに乗れる免許を収得)しましたが、今はバイクに乗っていません。

50歳になったら、またバイクを買ってツーリングを再開する予定ですが、今度は一人じゃなく、仲間と一緒がいいですね!
(オンネトー、リベンジです)

小原啓渡

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