小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.03.02

変人

「へ」、「変人」で。

アート関係の人たちの中には、とかく「変人」が多い。

ただ僕が誰かを「変人」というとき、それは一種の賛辞です。

「世界に一つだけの花」という歌が流行った時期がありましたが、
誰もが「オンリーワン」だっていう歌詞を聞いて、
「何を今さら・・」と感じていましたね。

一人一人が「オンリーワン」なんて、当り前。
こんな歌が流行るなんて、この社会が病んでる証拠なんじゃないかと思っていました。

「人と違ったことをするな」
「常識からはみ出すな」っていうようなことが、
特に古い時代において、まことしやかに囁かれてきた傾向は否めません。
(これって、「十把一絡げ」が管理しやすいという、為政者の意図的な操作だったと思うのですが・・・)

それに対して、アートはある意味「個性を主張する世界」です。
「自分が他人と違うことを表現する行為」だとも言えるでしょう。

自分から見ると、自分以外の人は「変人」であってしかるべきで、
育った環境も違えば、価値観も違う。
ただ、人は「異質」なもの、自分とは違う価値観に触れて、成長・発展する。
二つの遺伝子が混ざり合って種を維持・発展させる生命のシステムと同じです。

若い芸大生などに時に見られますが、何もいきって「変人ぶる」必要はない。
自分を素直に、ありのまま出せば、それで充分「変人」です。
個性を出すことを抑止し続けた過去の社会に問題があるとしても、
もう今は、かなり変化してきています。

まず、自分が他人とどう違うかをしっかりと見極めた上で、その違いを堂々と表現することって大切だと思います。
もちろん、お互いがお互いの個性、違いを尊重できる人間的な「成熟」が必要条件だと思いますが・・・

とにかく、成熟した社会になって「変人」であることが、もっと尊重される世の中になればいいなと思っています。

小原啓渡

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