小原啓渡執筆集「諸行無常日記」
2008.04.18
桜
「さ」、「桜」で。
「さくら」の季節が過ぎようとしています。
「桜」には、たくさんの思い出があります。
以前少し書きましたが、幼少の頃僕は人にあずけられて育ちました。
その家の前庭に南天と、山桜の木が一本ありました。
南天の赤い実、桜の白い花(その桜はピンクではなく、白でした)は、
子供の目にも、山村の四季を感じさせるに十分なインパクトがありました。
その桜を大切にしていた僕の「育ての親」が、相次いで亡くなった年、
まるで二人を追うように、その桜の木も枯れました。
死産した最初の娘も「さくら」という名前です。
僕にとって「桜」は、ほろ苦い記憶と共にある、
「はかない花」です。
小原啓渡