小原啓渡執筆集「諸行無常日記」
2008.05.08
漫才
「ま」、「漫才」で。
ビートたけしさんや島田紳助さんらが活躍した「第一次漫才ブーム」といわれる時期もリアルタイムで経験した僕ですが、大好きだったのは、「人生幸朗・幸子」
もうお二人共お亡くなりになったので、知らない方も多いかと思いますが、
世相や流行歌の歌詞にイチャモンをつけて笑わす「ぼやき漫才」の第一人者でした。
若手が新しい漫才を次々に打ち出してくるなかで、人生幸朗・幸子の漫才はその世界観もキャラクターも、最後まで輝きを失っていなかったように思います。
「ネタ」「展開」「落ち」すべてがわかっていても笑ってしまう、まさに一級の「芸」でした。
「りんごは何にも言わないけれど、りんごの気持はよくわかる」(美空ひばり)
「りんごが物言うたら、八百屋のおっさん、うるそうてかなわんで!」
と、まあ、こんな感じですが、それに突っ込む幸子さんの「泥亀!」「鼻くそ!」
という甲高い声も、なぜかカワイくて、最後の決め台詞はいつも、
「責任者、出てこーい!!」
もし人生幸朗さんにこう言われたら、僕は喜んで出て行って、サインを頂いたと思います。
「ワンパターン」が「スタイル」となり、確固とした「世界観」を創り出す、
そしてそれを第一線で貫き通した素晴らしい「芸人」さんだったと思います。
小原啓渡