小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.06.01

こけら落とし

「こ」、「こけら落とし」で。

「こけら落とし」とは、劇場のオープン時に初めて行う催し(興行)のことですね。
「こけら」とは材木を削った時に出る木屑のことで、新築や改築工事の最後に屋根などの「こけら」を払い落したことから「こけら落とし」と言うようになりました。

僕も今までに、いくつかの「こけら落とし」に仕事で関わりましたが(新装南座、大阪松竹座、京都四季劇場など)、「こけら落とし」に関われるチャンスというのはめったにありません。
ましてや自分達の劇場の、となるとなおさらです。

僕の場合は、「アートコンプレックス1928」が1999年、「ブラックチェンバー」が2004年、「パルティッタ」が2007年ですから、今のところ3回です。

とりわけ最初の「アートコンプレックス1928」は、思い出深いです。

どの興行で幕を開けるかは、劇場のベースになる「コンセプト」を公表するようなものですから、結構悩みました。

結果的に、コンプレックスなパフォーマンス集団「コンドルズ」に「こけら落とし」をお願いしましたが、この選択は正解だったなと思っています。

以来、「コンドルズ」は毎年12月に公演を続けてくれ、今年で10回目になります。まさに「アートコンプレックス」は「コンドルズ」と共に成長をしてきた感さえあります。

はたして、この先どれくらいの「こけら落とし」に関われるかは分かりませんが、「こけら落としを見ると長生きする」というジンクスもありますので、長生きしながら、できる限り多くの「こけら落とし」を見たい(手がけたい)と願っています。

小原啓渡

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