小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.06.05

性格

「せ」、「性格」で。

「お前の部屋を見せるがいい。そうすれば、お前の性格を言い当てて見せよう」
とは、僕が好きな作家の一人(特に「地下室の手記」は何度も読みました)、
ドストエフスキーの言葉です。

「性格」とは、辞書的に言うと「ある人を特徴づけている基本的な感情や意志、あるいは行動傾向」ということになるのでしょうが、上記ドストエフスキーの言葉は、より具体的かつ的確で、しかもウィットに富んでいると思います。

実際、自分の部屋を見てみると、確かにことばでは説明し切れない自分のこだわりや嗜好、行動傾向というものが現われているような気がします。

自室というのは、基本的に自分だけの空間で人に見せるものではないので、人前での言動やファッションなどよりも、内面的な「性格」が如実に現れるのかもしれません。

そう考えると、実存主義の先駆者ともいえるドストエフスキーのことばにより深みを感じます。

最近「片付けられない症候群」などという言葉をよく耳にしますが、これが現代人に多い性格の傾向だとしたら、ちょっと問題で・・、現代社会をひも解くひとつの切り口になるかもしれませんね。

小原啓渡

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