小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.06.12

難題

「な」、「難題」で。

今日、一日で4つの文化ホールを見学し、そのホールが現在抱えている運営上の問題点などを現場の方々からお聞きすることができました。

僕自身が公共・民間のホールを運営管理する仕事をしているので、それらのお話に目新しさこそなかったものの、いくつかの問題点に関しては、どのホールも共通していることを再認識しました。

どのホールも同様に抱えている問題というのは、ともすると「仕方ない」「そういうもんだ」というところに落ち着いてしまい、見直しや改善がされなくなってしまうことがよくあるような気がします。

こういった問題、いわゆる「難題」に関して、僕自身もいつの間にか「そういうもんだから」と、敢えて問題視しない状態になっていたのを、連続して別々のホールから同じ問題点をお聞きしたことで、改めて「難題」の功罪に気づかされた感じです。

特殊な業界において、ある意味、慣習的に続けられてきたシステムを変革するのは大変なことです。
問題だとわかっていても、ずっと変えられずにいたものには、業界内での複雑な構造があったり、本質的な原因の在りかも、かなり根深いものが多い。
そして、問題を内包したまま、いつしか「当り前」になってしまい、だれも手をつけようとしなくなる。

ただ、誰もが解決できなかった、誰もが変革しようとしなかった「難題」に取り組むことは、とても遣り甲斐のある仕事だと思っています。

実は、こういった「チャレンジ」というものにあるワクワク感を、僕自身は行動のエネルギーにしているところがあって、今日も一人、心の中でふつふつとモチベーションが上がっていくのを感じたのでした。

もちろん、「難題」に取り組むということは、時間・労力が何倍もかかり、しかも達成の確率が低いということでもあるわけですから、そこのところは熟考する必要があると思います。

「大人になる」ということが、ある意味「思慮深くなり、危険を冒さなくなる」ということでもあるなら、
「なかなか大人になれない」
これが僕自身が抱える「難題」なのかもしれません。

小原啓渡

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