小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.06.23

見栄

「み」、「見栄」で。

「見栄」とは、「実際以上に自分をよく見せようとする態度」ですが、多かれ少なかれ人間なら誰しも持っている性質ではないかと思います。

ただ、ちょっと背伸びするくらいなら「成長」という意味でも有効かと思いますし、「自己PR」としても目的にかなっていますが、やはり度が過ぎると問題ですよね。

実際とあまりにもかけ離れていることが発覚した時の痛手は大きいし、見栄というのは往々にして見破られてしまいます。

僕の考えでは、「見栄を見栄と見破れないような人に見栄を張る必要がない」というのがあって、かなり複雑な言い回しですが、結局、自分を売り込みたいと思うような相手には、極力「素(す)」の自分でいようと努めます。

見栄や嘘を見抜かれるとマイナスポイントになりますから、最初から「見透かされている」という前提で臨みます。

どんなジャンルでも、一流の人というのは感性が非常に鋭いですから、嘘を感覚的に見抜いてしまいますし、人を見極める能力を持っている方が多い。

自分の嘘や見栄を見抜けないような人に自分を高く売り込んだところで、結局疲れるだけで、トラブルの元だと思います。

という僕も、大学生になりたての頃、出身地を聞かれて、「兵庫の田舎」と答えるのが嫌で、見栄を張って「神戸の近く」とか言ってごまかしていたのを思い出します。

きっと若いころは自分に自信がなかったんだろうと思うと、自信のない人ほど見栄を張るということなのかもしれません。
(自信というのも難しい概念で、またいつか書いてみたいと思いますが・・・)

つまるところ、「虚飾」と「素(す)」
美しいと思う感覚は人によって違うとは思いますが、僕は「素」「ありのまま」の方が美しいと思います。

良い悪いは別として、自分にとっての「美しさ」を、あくまで追求していきたいと思っています。

小原啓渡

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