小原啓渡執筆集「諸行無常日記」
2008.07.15
自画自賛
「し」、四文字熟語が続きますが、「自画自賛」で。
「自画自賛」とは、あまりいい意味では用いられない言葉ですが、クリエーターやアーティストにとっては、ある意味で大切な資質であると思っています。
つまり、「自画自賛」出来ないようなものを人に勧めるな!ということですね。
自分の世界だけで完結するものなら問題ないし、「アドバイスを下さい」というならそれでいいと思いますが、
日本人が手土産を渡すときに「つまらないものですが・・・」と言う謙遜の習慣と、自分の創作物(作品)を一緒にして欲しくないと思っています。
ましてや、芝居やダンス、コンサートなどでお金を払って見てもらう場合、
「つまらないものですが・・・」では、だめでしょう、というのが僕の思いです。
もちろん、クリエーターやアーティストにとって「完璧」というのは難しいし、自分の作品に対する不満が、また新しい創作を生むということも分かります。
ただ、現段階での作品に満足できていなくても、自分の才能やセンス、創作意図やプロセスに関しては自信を持っているという状態になっていないのなら、お金をとって見せてはいけないと思うわけです。
また、「自画自賛」すればするほど、叩かれやすいというのも事実ですし、色々な言い訳をつけることで、酷評から身を守ることも可能になります。
しかし、この「叩かれる」ことを怖れていては、独自の世界観を持った創作などできないと思います。
「叩かれて」なお、それをエネルギーにして進むこと、叩かれたことを真摯に受け止めて、次の創作に生かすこと、どちらにしても、その時点で「自信をもってお勧めします」と言える状態まで練り上げるこだわりが、クリエーターには必要なのではないでしょうか。
小原啓渡