小原啓渡執筆集「諸行無常日記」
2008.07.24
夏
「な」、「夏」で。
いやぁ?、夏もまだ始まったばかりなのに、ほんとに蒸し暑いですね。
暑さには強いタイプですが、湿気がキツイです。
日仏共同プロジェクトをやっていた1992年から1998年までの数年間、夏はほとんどフランスで過ごしました。
南フランスでこの時期、国際フェスティバルがいくつか開催されていて、毎年どこかのフェスティバルに招待されるという幸運が続いたためでした。
「プロバンスの夏」をご存知の方には説明は不要だと思いますが、
日本とはとてつもなく違います。
何が違うかというと、やはり湿気でしょう。
気温はそれほど変わらなくても、湿気がないので、全く不快感がありません。
特に南仏は緑も多く風も抜けるので、木陰とかに入れば涼しく快適です。
南仏に「エキサンプロバンス」という小さな町があって、初めてこの町に入ったとき、強烈な「カルチャーショック」を受けました。
大げさではなく僕には、街に流れる時間が止まっているように思えたんです。
その感想を、フェスティバルのディレクターに話すと、
「3S、が揃うと、こうなるんですよ」と説明してくれました。
「3S」とは、「SUMMER」「SUNDAY」「SIESTA」、
つまり、夏の日曜日、お昼寝どき、プロバンスの時間が止まる・・・。
街中なのに驚くほど静かで、優しい光が溢れる午後のひと時は、
「もしあるなら、天国ってこんな感じかも・・・」と、思うほど美しく穏やかでした。
小原啓渡