小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.07.27

眠り

「ね」、「眠り」で。

先日、電通の知り合いが、さんざん飲んで家に帰って寝てる時に、無意識に起き上がって、「やっぱり、帰るわ」と言ってしまい、隣で寝ていた奥さんに「どこに帰るの?」と聞かれて目が覚めた、という話をされて爆笑してしまいましたが、本人は自分が眠っていることに気づいていない、というのも「眠り」の大きな特徴ですね。

最近では脳科学が発展して、眠りのメカニズムに関しては随分解明が進んでいるようですが、まだまだわからないこともたくさんあるようです。

基本的に眠りは、肉体の休息というより脳の休息のためにあるというのが一般的で、アインシュタインが一日に10時間以上眠っていたと言われていることを考えると、確かに納得できる気がします。

一般的な睡眠時間が8時間だとすると、人生の三分の一は眠っているわけで、この比率を考えるだけでも、睡眠が人間にとって大きな意味を持っているのだろうことは推測できます。
必要もないのに、人生の三分の一を生理的に使ってしまうというのは考え難いからです。

また、ギリシャ神話で、眠りの神「ヒュプノス」と死の神「タナトス」が兄弟とされていることから、眠りと死を関係付ける考え方が長く続いて来たことがわかりますが、僕にとっても非常に興味深い考察の一つです。

よく、「眠ったまま死ぬ」というのが人の臨終の理想形として語られますし、僕もできればそうありたいと思いますが、眠りと死の根本的な違いをその時知ったとしても、もう遅いですよね。

それでも、知りたいと思うので、やはり僕は「眠ったまま死ぬ」ことにしたいと思います。

小原啓渡

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