小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.08.27

産学連携

「さ」、「産学連携」で。

今、京都の工芸繊維大学で非常勤講師として、一種の「学内ベンチャー」の授業を受け持っています。

たまたま、京都府が立ち上げた「文化ベンチャー」を促進するプログラムのゲストで講演をさせていただいた時に、工芸繊維大学の先生が来られており、後日、その先生が担当されている「現代GP」の授業を手伝ってもらえないかという申し出をお受けしたのがいきさつです。

ちなみに「現代GP」というのは、大学等が実施する教育改革の取組の中から、優れた取組を選び、文部科学省が支援しているプログラムの略称です。

この「学内ベンチャー」は、「クラフト・コンシェルジェ」というもので、京都にまだまだ残っている伝統工芸の技術や職人さん達と、伝統工芸の技術や素材を扱って新商品の開発や販売を行っている、あるいはその分野に興味を持っている「ベンチャー企業」をマッチングさせることを主なテーマにしたプロジェクトです。

ある意味で、僕が大学で講師をしていること自体「産学連携」ですが、大学と伝統工芸産業およびその分野に係るベンチャー企業が連携するこのプロジェクトは、まさに「産学連携」の一つのモデルケースだと思います。

工芸繊維大学に来る前、他の美術系大学で3年間、非常勤講師をしていましたが、生徒数が約80名と多く、どうしても一方的に講義をするというパターンになりがちなのが面白くなくて辞めさせていただきましたが、現在の生徒は十数名、授業の時間枠を超えて自主的にかかわってくれるので、僕自身、とても面白みを感じています。

はたして、このプロジェクトが「ベンチャービジネス」としてモノになるかどうかは分かりませんが、少なくとも教育改革の切り口としての可能性は高く、新しい大学の取り組みとして興味深い試みだと思っています。

小原啓渡

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