小原啓渡執筆集「諸行無常日記」
2008.09.23
ベレー帽
「へ」、「ベレー帽」で。
僕の幼少期の育ての親は、僕とは血のつながりのない老夫婦で(以前にも少し書きましたね)、おじいちゃんの方はいつも黒のシンプルな「ベレー帽」をかぶっていました。
今から考えると、ベレー帽に煙管がトレードマークのような人でしたから、見た目はとても芸術家っぽかったように思います。
僕が幼稚園の時、参観日があって、実の母がやってきたようです。(僕は憶えていません)
ちょうどその時、「両親どちらかの顔」というお題目で、園児たちの絵が教室の後ろに張ってあったそうです。
園児たちが描く絵ですから、それほどリアルなものはなく、どれも似たような絵で「言われてみれば、○○君のお父さんね」程度なのですが、僕の描いたお父さんは明らかにわかる黒の「ベレー帽」をかぶっていたそうです。
「悪気がないだけに、本当につらかった」と、後に母が話してくれました・・・。
小原啓渡