小原啓渡執筆集「諸行無常日記」
2008.10.29
途上
「と」、「途上」で。
「ON THE WAY」(途上)という言葉を大切にしています。
自分が行きたい、行くべきだと思う場所(目標)を真っ直ぐに見ていたいと思っています。
大学で講師をしてることもあって、学生から「自分が何をやりたいのか、何を目標にしたらいいのかわからない」という相談を受けることがあります。
そんなとき、僕がいつも聞くのが「正解のない選択肢問題を解いてない?」という質問です。
何かの間違いで、選択肢の中に正解が入っていなかったら・・・、いくら考えても回答は出せないはずです。
人が自分の将来に望む「夢」というのは、一般的に現実的でない場合が多い。
例えば宇宙飛行士になりたいとか、億万長者になりたいとか人それぞれ色々あると思います。
ただ、子供のころは純粋に夢見る心を持っていますが、成長するに従って現実的になり、自分には才能がないとか能力がないとかという理由をつけて、夢を諦めていきます。
ただ、その「夢」は消滅したわけではなく、心の奥底に閉じ込められているだけだと僕は思っています。
そして、「自分が何をやりたいのか」この問いに対する本当の正解はこの封印された「夢」なのではないかと思うのです。
僕は学生たちに、たとえ現実味がなくても、99%無理だと思っても、せめて選択肢の中にその「夢」を入れてみたら?と提案します。
夢とは実現することだけに価値があるのではありません。
なぜなら、実感としてある「幸せ」は過去でも未来でもなく、今この瞬間にしかないからです。
過去も未来も、僕の考えでは「幻想」です。
自分の心に正直に、たとえ99.9%不可能と思える「夢」でも、子供のようにまっすぐに見つめて生きる。
そして、今、自分はその場所(夢)に向かう「途上」に立っているという実感こそが人を本質的に生かし、至福感を与えるのだと信じています。
小原啓渡