小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.11.30

ぐうたら

「く」、「ぐうたら」で。

「ぐうらた」の語源は、「愚」と「弛(たる)む」という二つの文字が合体したもので、通常は悪い意味合いで用いられていますが、僕にはユーモラスなイメージがあり、具体的には、日本の民話「三年寝太郎」を思い出してしまいます。

この民話、全国でいくつかバリエーションがあるようですが、基本的には、三年間仕事もせずに寝てばかりいた「ぐうたら」な男が、ある日突然起きだして灌漑などの人に役立つ大事業をやり遂げる、といった内容のお話です。

僕が読んだのは、三年寝た後、父親に無数のわらじを買ってほしいと頼み、それを船に積み込んで出ていく、帰ってきた船に乗っていたのは使い古してボロボロになったわらじの山、寝太郎はそのわらじを桶で洗い、そのわらじに着いていた砂金を集めて資金を得、(寝太郎は佐渡の金山で働く人々のわらじを、持って行った新品のわらじと無料で交換してきた)その金で灌漑事業を行って村を救った、というものでした。

子供心にかなり衝撃的であったのだろうと思うのは、昔話といえば「三年寝太郎」というように、僕の中では代名詞のように定着していることをみればわかります。

そして、この話には大人になっても重要であると思われる要素がふんだんに盛り込まれていると思います。

1- タイトル:しゃれっ気があって一度聞いたら忘れない。

2- ぐうたら=ダメ、という固定観念を打ち砕いている。

3- じっくりと考え抜く(寝太郎はただ寝ていたのではなく考え続けていた)ことの大切さ。

4- 独創的アイディアの重要性。

5- お金を世のため人のために使う、という成熟した精神。

ざっと挙げるだけでもこの通り。

「三年寝太郎」はぜひ大人にも読んでほしい民話です。

小原啓渡

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