小原啓渡 執筆集「諸行無常日記」

2006.09.22

松原さん

芸術創造館の副館長をして頂いている松原さんのことを僕たちスタッフは「関西演劇界の生き字引」と唱えています。

プレイガイドジャーナル、オレンジルーム、OMS、近鉄劇場、近鉄アート館、シアターブラバなど、様々な現場で30年以上に渡って仕事をされてきた、その功績は偉大だと思いますし、いつもフラットな視点で関西演劇界の発展を願い、支えてこられたことに対して心から尊敬しています。

個人的にも本当に色々なことを教えて頂いていて、僕たちだけがその恩恵を受けるのはもったいないと、今、松原さんに「ブログ書いてくださいよ?」とお願いしています。昔の話も含めて、色々。

近々、松原さんの「生き字引ブログ?」がアップされるかもしれませんよ。
乞うご期待!!

小原啓渡

2006.09.21

三条あかり景色

アートコンプレックス1928が面する京都の三条通で毎年この時期、映像を街に散りばめるプロジェクトをやっています。今年で3度目。一昨日、無事終了しました。

行政や企業等から依頼された訳でなく、3年前に有志7人で勝手に立ち上げた企画です。メンバーは今や50名を超え、ボランティアで参加してくれる方々も今年はのべ300名を超えました。
このプロジェクトはほぼ全て、参加者の好意で成り立っています。

ビルや商店の壁面に映像を照射するためのプロジェクター(今年は65台)も個人や大学、企業から無料でお借りし、作品は公募を中心にして、プロの作家からも無料で提供頂いたものです。

電源は地域の商店などの壁コンセントからとらせて頂いており、ノウハウや労力も含めて必要なものがほとんど全て持ち寄りなので、現金がほとんど動かない、そういった意味でも珍しいイベントです。
「民間発案型PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」というのを実践してみたくて試みた企画ではありますが、奇跡的に継続、成長してます。

今年は台風の影響で2日目が中止状態になりましたが、それでも2日間で15万人の方々に見て頂くことが出来ました。(交通量調査や商店の売上調査、来場者アンケートも大学ゼミのボランティアです)

最終日の片付けが終わったのは深夜の2時頃でしたが、多くの方々が残って作業をしてくれました。
僕が学生の頃(もう四半世紀前?)、ボランティアなどというと、偽善者扱いだったように記憶しています。
時代と価値観の大きな変化を実感します。

利害を超えた人と人のつながりを感じたい、社会に対して何か意味のある活動をしたい、そういった思いが大きなうねりを生み出しているのでしょうか。

小原啓渡

(このプロジェクトは朝日新聞と京都新聞、両紙一面にカラーで掲載されました)

http://www.asahi.com/life/update/0917/002.html

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006091600135&genre=K1&area=K1C

2006.09.14

九軒長屋

今日は久しぶりにアポが無く、芸創に午後4時からの出勤だったので、森小路近辺をぶらぶらと探索しました。
最近少し涼しくなってきたので、散歩も快適でした。

家族は京都に住んでいますが、僕は芸創の運営が始まって、森小路に1Kのアパートを借りました。
京都の家には週に2日ほどしか帰れなく、単身赴任状態です。

日常はアパートと芸創の往復だけで、あまり近辺を散策する機会がないのですが、やはり公共の文化施設として地域との係わりを大切にしたいので、もっと歩いてみようと思っています。

今日は「九軒長屋」という70年ほど前に建てられた日本家屋を見つけました。(写真)
その長屋の一軒がほとんど民家そのままでカフェになっています。
女性のオーナーが一人でやっておられて、少しお話もさせて頂きましたが、とても落ち着けて、手作り感あふれるランチもおいしかった。
ちょっと素敵な隠れ家を発見した感じでラッキーでした。

京都でも町家を改装したカフェや店舗が増えて人気ですが、僕も大好きです。

「アートコンプレックス1928」は世界恐慌の前年1928年に建ったビルだし、「AIR京都」も元繊維会社の女子寮だった古いビルを改装したものです。
名村(C.C.O)も産業遺産ともいわれる造船所の跡地。

古いっていうか、時間が堆積した空間が好きなのだと思います。

小原啓渡

2006.09.03

芸創サロン

毎週日曜日、午後から「芸創サロン」というのをやってます。

希望者の方と僕が少人数で話をするっていうだけのものですが、僕にとっては結構重要だったりします。
スタッフからの聞き伝えではなく、芸創に対する疑問や要望等を直接聞ける機会でもありますし、その他もろもろ、色んな話ができる楽しさがあります。

約25年、照明から始めて舞監になり、今はプロデューサーをやっていますが、常に現場主義でやってきました。

人の話は、参考にはするけれど、基本的に自分自身で確かめたことだけを信じる、というスタンスも僕にとっては「現場主義」です。
現場の状況や雰囲気を知り、生の声を聞くことは大切です。

「現場に神宿る」
と言いますが、確かに、行き詰まると
「現場百回」
答えは現場にあるものです。

「芸創サロン」は、基本的に1時間ほどですが、その後の予定がなければ、4時間くらい話したこともあります。

皆さん、自分自身で確かめに、気軽に話しに来て下さい。

お待ちしています。

小原啓渡

2006.09.02

越後妻有トリエンナーレ

越後妻有に行って来ました。
大阪から特急電車を乗り継いで約5時間、新潟の十日町市に夜到着。飛び込みで駅近くの旅館に一泊して、翌朝、案内所でレンタルバイクを借りて出発。

忙しさにかまけて、全く事前調査をしていなかったので、とりあえずガイドブックを買って、鑑賞行程を計画するために「千手温泉」へ???。

温泉通にはかなり有名なセピア色のお湯に入り、露天のベンチで鳥の声等を聞いているうちに眠ってしまう。前夜、旅館のBSでやっていた溝口健二監督の「赤線地帯」を最後まで見てしまったのが原因?

昼前に目が覚めて、地元でとれたピチピチの巨峰を一房平らげて出発するも、展示地域が広く、作品も300を超えるので、早々に「お目当てを回る」という計画を変更。

信濃川や棚田など豊かな自然をゆっくり楽しみながら、行き当たりばったりで作品を見ることにしました。

おそらくほとんどの人は足を運ばないだろうと思えるようなポツンと離れた場所にある作品等も見る。
そんな感じなので、残念ながら見た作品も作家の名も覚えていない。(でも、これって実はとても素敵な時間でした)

走り疲れたら、近くの温泉に入る。写真の「雲海」という温泉は高台にあって、露天風呂からの眺めは最高でした。早朝なら眼下に本当に雲海が見えるそうです。
湯上がりに食べた地元の蕎麦もおいしかったな?。

そんなこんなで、胸を張ってトリエンナーレを見て来たとは言えないですが、総合ディレクターの北川フラムさんには正直に話して、それでも「とっても素敵でした」と言おうと思います。

小原啓渡

2006.08.28

芸創ライブ

昨日、芸術創造館主催のコンサートがありました。

芸術創造館には、大小合わせて11のスタジオがありますが、そのうち5つは音楽用スタジオになっています。そのスタジオを利用して練習に励んでいる人たち11グループが参加してのライブでした。

この企画を担当してくれたのが、まだ20代前半の若い音楽スタッフ2名。
彼女達にとっては初めて手掛ける企画で、当初はかなり戸惑っているようでしたが、先輩達のアドバイスや協力で、徐々にペースを上げ、結果的には血の通ったとてもいい企画になりました。

若い世代には若い世代の感覚や価値観があって、それを臆せず前面に出しきってやればいいと思っています。
知識や経験の無さは先輩がフォローすればよくて、その体制さえ整っていれば余計な心配は無用で、完全に任せてみる。そうすれば、ちょっと頼りなく見える若手スタッフも、意外にしっかりとやり切ってくれる。

大切なのは、今の自分を今の自分として認めて、臆さないことだと思います。

10代なら10代、60代なら60代のよさがある。
変に背伸びしたり、萎縮したりするすることなんてないと思うんです。

そのまま、ありのままが一番強くて、美しい。

小原啓渡

2006.08.26

コンドルズ

今日は、コンドルズ全国縦断黄金郷ツアー2006「エルドラド」大阪公演に行ってきました。

この作品は2001年から2005年まで5年間のベスト版、元来オムニバス形式の作品作りをするコンドルズのオムニバス。つまり「オムニバスのベスト版」です。
ジェットコースターに乗っているような、あっという間の2時間でした。

コンドルズとはアートコンプレックス1928のこけら落し以来、足掛け8年の付き合いになります。
年々人気が上がり、「情熱大陸」や「トップランナー」への出演、最近では近藤良平が「アエラ」の表紙になるなど完全に全国区のグループになってきた。そして、これまでのアメリカ、アジアツアーに続き、来年にはロンドン、パリ、イタリアへのヨーロッパツアーも決まっている。
全く、大したものです。

今日、改めて思ったのは、彼らの「潔さ」
「観客を楽しませることを楽しむ」徹底した姿勢がすがすがしさを感じさせてくれます。
彼らの創り出す世界が、枠組みや既成概念に全くとらわれていないのも、その「潔さ」故なのかもしれない。

今や渋谷公会堂を満杯にさせるコンドルズが、わずか200席ほどのアートコンプレックス1928で毎年同じ時期に公演を続けてくれることに、感謝もし、悪いな?という気持ちさえあります。

「無理せんでもええで」と近藤良平やプロデューサーの勝山君に言うのですが、
「イヤイヤ、12月は毎年京都でやり続けましょうよ」と言ってくれる。
まさにコンドルズならでは、という気がする。

売れようが売れまいが、彼らの根本は動かない。

潔さの中に彼らの「男気」を感じる瞬間です。

小原啓渡

2006.08.25

落語

杉山さん、投稿ありがとうございます。
杉山さんはアトリエ劇研のプロデューサーで、アートコンプレックス1928の立ち上げの時から随分お世話になっています。

アートコンプレックス1928は1999年にオープンしましたが、当時私は劇場プロデュースの経験どころか、関西の小劇場演劇の事情にも不案内で、ずいぶん杉山さんに教えていただきました。
今後も協働して関西の舞台業界を盛り上げていきたいと思っています。

ところで、昨日ブラックチェンバーの若手のディレクター達で立ち上げている「名村文化祭」に行ってきました。

昨日のプログラムは「名村寄席」、劇研も毎年新年にやっている企画ですよね。プロの落語家の方もいらしていて、流石にプロは違うな?と感じ入りました。

「鴻池の犬」という演目、面白かった。
芝居やダンスもそうですが、落語もライブが断然いいですね。感情移入して思わずホロリとしてしまいました。

皆さん、デートの時とか、映画とかばかりじゃなく、たまには落語の寄席っていうのも結構いけてるかもしれませんよ。

小原啓渡

2006.08.20

玉野黄市

昨日、アートコンプレックス1928で舞踏家、玉野黄市さんの公演がありました。

実はこのブログでは、あまり舞台などの具体的な批評は書かないでおこうと思っていたのですが、アートプロデューサーとしてではなく、一個人として感動したので、少し書きます。

「ガニ股のニジンスキー」
玉野さんは土方辰に直接師事した数少ない舞踏家で、今はサンフランシスコ在住。
5人の女性舞踏手との公演でしたが、久しぶりに舞踏らしい舞踏を見た気がしました。
70年代から80年代初頭にかけての舞踏に強烈な刺激を受けた僕としては、何だかその当時に引き戻されたような感動がありました。

変わっていくものもいいけれど、形骸化せず、脈々と生き続け、変わらないものも素敵です。

玉野さんの奥さん、弘子さんの舞踏も最高でした。若い女性舞踏手との対比の中で、身体性、精神性が際立って、目が釘付けになりました。

舞踏は、日本で生まれた世界に誇れる身体表現です。
舞踏が世界のダンスシーンに与え続けて来た影響は特筆すべき事実ですが、同じように舞踏も世界のダンスシーンから影響を受け続けています。

オリジナリティーって、単に表面的な演出手法やフォームにあるのではなくて、きっと、民族としてのアイデンティティーや精神性の中にあるんでしょうね。
そんなことを考えさせてくれる公演でした。

小原啓渡

2006.08.19

ホームランバー

ついに当たりました!!!

今日、ブラックチエンバー(名村造船所跡地)でニューヨークで活躍するヨシコ・チューマさんの公演がありました。

ブラックチェンバーは、四つ橋線の北加賀屋駅で降りるのですが、駅から劇場まで徒歩10分弱の道のり、ちょうど中間地点にローソンがありまして、ここでホームランバーを一本買って、食べながら行くのが習慣です。
バニラとチョコとチョコチップの3種類で、僕はチョコチップが好きですが、今日は気分を変えてチョコを買いました。

「名糖 同点ホーマー 一本当り」

熱射で溶けかけたチョコアイスの下に、木の軸棒に焼き付けられた文字の一端を見つけた時は、暑さも疲れも忘れるほど嬉しかったです。

僕が子供の頃からあるロングセラーのアイスクリーム。
長い年月、多くの人に愛され続けるモノの本質を見た気がしました。
入れ替わりがめまぐるしい時代の中で、長?く生き続けている商品って、何かがあるんですよね。

そういえば、昨夜は、エースコックのワンタンメンを食べました。
お湯を多く入れ過ぎたんですが、それでも、うん、おいしかったです。

小原啓渡

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