インターミッション(2)
'00年、タカラヅカに各組の準トップ、三番手クラスが所属する「新専科」制度が導入された。その賛否両論はさておき、本来の「専科」の存在は注目に値
する。専科は、特定の組に所属しない熟練した技能を持つベテランが所属し、各組が公演をする際に特別出演として、老人役など若手には難しい脇役を演じたり
するのだが、これが作品に厚みや幅を持たせる事になる。約30名程の団員が所属しているが、舞踏、演劇、歌唱などの専門技能に優れているだけでなく、多く
が組長、副組長などを歴任した、若手をまとめていく事のできる人望も持ち合わせておられる方々である。
私が生業とする小劇場の世界においては、30歳を超える役者の不足が言われている。味のあるいい役者であるにも関わらず、主に経済的な理由から活動を断
念してしまうケースが多く、極めて遺憾である。それら熟練した脇役たちが作品の舞台骨となり、若手を指導していく事の重要性ははかりしれない。小劇場の世
界でも、必要とされる劇団に無料で客演し、後進の指導にも当たるベテラン達が所属する「専科」をつくり、彼らの生活を保証するシステムができないものかと
考えるのは私だけだろうか?
P.A.N.通信 Vol.57に掲載
HOME>寄稿記事>ページ先頭